フォーチュン

クラッシックギター専門誌「ギタードリーム」の5月号に載るインタビュー記事の事は、先月ブログに書きましたが、毎号に数人のギタリストが演奏するCDが付録としてついています。
それに1曲提供してくださいと依頼があり、過去のコンサートの音源を知り合いの専門家にCDにしてもらい送りました。
曲はダウランドの「フォーチュン」、できれば著作権がかからないものでと言われたので、古い時代の曲で(たしか100年経つと著作権の対象外)あまり他の人が弾いていないのでいいかなと決めました。
この曲を弾いたリサイタルは、実はある強い思いがあって開催しました。

同じギターの師匠のところで学んだAさん、後輩ですが年齢はずっと上、おしゃれで素敵な女性で知識も豊富、価値観がすごく合ってどんなことでもお互い話し、私のコンサートではいつも受け付けやサポートをやってくれてどんなに助かったことか。

その彼女が身体を患い闘病生活を送ることになったのですが、持ち前の強い精神力で(でも彼女にしてみたら決して強いわけではない、耐えるだけなのです)長い間病気と戦い、徐々にギターのレッスンを再開したり、以前やっていたコーラスにも復活しています。
当時不安になっていた彼女をとにかく元気づけたいと思い企画したリサイタル、そして「フォーチュン」は彼女に聞いてもらいたくて初めて練習した曲です。

久しぶりに聞くと、今こんな演奏はできるだろうか〜という心に深く沁みる音で弾いています。自分の演奏をほめているわけではなくて、演奏というものはその時々の自分自身が反映するもの、そんなことはわかっているけれど、こんな気持ちだったんだな〜と感慨にふける。
改めて、いつもいつも思っているけれどまた改めて、なまの演奏の素晴らしさを実感することになった。

今思えば、彼女を元気づけたいなんておこがましいことで、彼女が「貴女のコンサートには絶対行くからやってよ〜」といつも言ってくれたから「じゃ、今年もリサイタルやるよ〜」と頑張られたことなのだ。
私の方がいつも励まされていたのです。本当にありがとう、Aさん。ずっと元気でまた私の愚痴やらなにやら聞いてください!