バッハのアンダンテ

今日はメロディアのレッスン。メロディアの日は雨が降る日は本当に少ないのですが、珍しく今日は一日中雨。皆さんギターに足台や譜面台も抱えてくるので大変でしたね。

 

昨日のレッスンから一曲。

ギターのMさんが練習しているバッハのヴァイオリンソナタ2番からアンダンテ。

ゆっくりな3拍子ですが、ベースが8分音符でほとんど絶え間なくきざんでいて、

淡々とした中に厳粛な佇まいを醸し出していて、メロディーは柔らかく天上の音楽かとも思わせます。

ギターは楽器の機能上、声部が多い曲やポジションが頻繁に動く曲は、音を繋ぐことが大変で、特にバッハや、ギターのオリジナル曲ではない編曲ものは苦労します。

この曲も例外ではありませんが、しかしオリジナルのヴァイオリンにとっても難曲なのではないかと思います。

それはヴァイオリンにとって二つの音を同時に弾くとき、一つをたとえば四分音符で延ばしたままもう一つの音を八分音符で二つ弾くことは、ボウイング(右手の弓)が相当の技術を要すると想像できるからです。

有名なヴァイオリニストの素晴らしい演奏がたくさんありますが、中でも日本人の諏訪内晶子さんの演奏は、メロディーがベースの影響を受けず途切れることなく、とても豊かな音で美しい演奏で感動しました。

彼女がコンチェルトのコンサートの後、アンコールで演奏している映像があったのですが、

最初の音、普通は八分音符で途切れることが多いメロディーの音が、次のメロディ音まで繋がり、深く気品に満ちた音で始まりました。後ろで聞いているオケの皆さんがスッと引き込まれ、彼女の演奏にまるで神聖なものを見るような表情になり、あたかもお祈りに耳を傾けるように、全神経を集中して聞いている様子にも感動しました。

オケのメンバーだからこそ、技術的にもその演奏がどれほど素晴らしいのかを、最初の音から感じたのだと思います。そして何より、とてもとても良く歌っている演奏だということもです。

 

楽器の機能でいろいろ大変なこともあるけれど、そんなこと言い訳にしないで、あきらめないで、豊かな音楽を奏でていくことを常に思っていきたいものです。