マチネの終わりに

映画「マチネの終わりに」、すごく良かった、良かったという一言では表せないぐらいいろいろな気持ちにあふれました。

原作の小説を2回読んでいたのでストーリーが分かっていたせいか、セリフよりも音楽の方に気持ちが行ったかもしれません。冒頭のバリオスの大聖堂のプレリュード、最初の2小節で、この話の世界に入ってしまいました。

とても美しく穏やかな映像、本当は激しいけれど静かに進む大人の愛、

それぞれのシーンにぴったりのギターの音楽、全編がギター曲です。

普通は映像に音楽を合わせることが多いと思いますが、オリジナルの曲の合間にセリフを入れたり、音楽の長さにシーンの終わりを合わせていたり、この映画はギターの音楽をとても大切にして、それが生きるようにも作られていると思いました。

ギターの音は、たぶん響きとか音色とか作られていて生の音そのままではないと思いますが、とても良い音でした。

どんな世界も一流はすごいと常日頃感じてはいましたが、この映画も製作に関わった人々の良いものを作る力が並大抵ではないと感じました。

 

演奏家としては、もっともっとギターの音があるときは切なく、悲しく、激しく心をえぐったり、時には幸せに満たすように、またある時は楽しくて時を忘れるように、さまざまな感情を呼び起こすように、そして最初の2小節で聞く人を引き込むような音で演奏しなければいけないと、改めて思ったのでした。映像がなくても引き込まれるように。