いやはやさん

私がギターの小原聖子先生の所へ入門した時は18歳、当時中野の野方という所にあったスタジオへ行くと、ギタリストなりたての方や、ギタリスト志望で勉強している20代の男のたちが大勢来ていました。女性は数えるほどでしたので不安感でいっぱいだったのを覚えています。


その切磋琢磨していた男の子たちの一人だった諫早俊夫さんが先日お亡くなりになり、
16日金曜日は告別式でした。65歳でした。
当時やはりプロをめざしていた佳子さんとご結婚して、その後長年デュオの活動もなさっていた仲の良いおしどり夫婦、佳子さんの悲しみはいかばかりかとお察しします。

聖子師匠は入ってきた生徒にすぐニックネームをつけ、以後ずっとその名前でお互いを呼び合っていますが、
諫早さんは「いやはや」でした。


告別式の後、次から次といやはや氏のたくさんのことが思い出され、心が落ち着かず、なかなかブログにアップできませんでした。


当時レッスンは公開レッスンのようにみんながいる前で受け、終わっても帰る人はいなくて他の人のレッスンを聞いて、先生のアドバイスを自分がレッスンを受けているように真剣に耳を傾けていました。

男の子たちが、先生が言われたとおりに弾けないのがくやしくて涙がぽろっ、なんていうのも時折ありました。
人と人とがまさに真剣に対峙する場面を目の当たりにしましたが、今思い出しても驚くのは当時32歳ぐらいだった師匠、ものすごい貫禄とオーラでした。


でもレッスンが終わるととたんに和気あいあい、とにかく面白いことが好きな男性先輩達は我先にと冗談を言い合って、師匠始め私たち女性はお腹を抱えて笑っていました。

ギターだけでなく芸術分野にひいでた先輩たちで、才能のある人達ってすごいなと驚くこといつもでしたが、なかでもいやはやさんはとても博学な上に芸達者、
それも誰にでもできるレベルではなく、皆が爆笑しながらも感動したものです。


最後に共演させていただいたのは、師匠の教室40周年記念コンサートでした。


いやはや氏はソロでコストの「ワルツファボリート」を演奏しました。
一音一音心がこもった情感豊かな演奏が思い出されます。


いやはやさんはGLC学生ギターコンクールの事務局を長年なさっていたので、
毎年コンクールの日にお会いしていました。
お会いすると必ずいやはやさんから近寄ってきて、「いよっ!元気?」と、
声をかけてくださいました。


お姿は見られなくなっても心の中に現れてくれば、決してお別れしたわけではないと思います。
これからも時々、「いよっ!元気?」と、お声をかけてくださいね、いやはやさん!